ドナルド・A・スタンウッド「エヴァ・ライカーの記憶」

 「オールタイムベスト級」なる文句につられて讀んでみた。
 氣にくはない。おもに倫理的な理由で、である。主人公が復讐のためか好奇心のためか、餘計なくちばしをつつこむものだから(致命的な)迷惑をかうむつたひとが幾人もでたぢやないか。
 それは措いても、謎解き時のサスペンスはみとめるものの、謎自體の魅力はよわいし、眞相もチンケなものである。解説子によればこの作家の二作目はひどい駄作であるさうだがさもありなん。
 あと、これはまあどうでもよいのだが、主人公が妻を「おまえ」と呼ぶのがどうもひつかかつた。

エヴァ・ライカーの記憶 (創元推理文庫)

エヴァ・ライカーの記憶 (創元推理文庫)