スウィフト「桶物語・書物戦争」

 「図書館戦争」を讀んだらつぎは「書物戦争」を讀むのが自然なながれである。などと思ひ讀みはじめたのだが、風邪をひいたりいそがしかつたりで時間がかかつた。
 當時の社會のいろいろを諷刺してゐる、といつても、註を讀まなければ何についてあてこすつてるのかもわからぬことがほとんどであり、そんなのがおもしろいかといへば否である。おまけにスウィフトのやりかたは遠まはしだから、ほめごろしではないがやつつけたいモノをあへてホメてたりするのでなほわかりづらい。
 てなことはみな解説にかいてある。この解説はかゆいところに手がとどいたなかなかのものではないかしら。とまれ、だからまつたくつまらんかといへばそんなことはなく、スウィフト一流の底意地のわるさはたのしめるし、そこかしこにある奇想(「耳の歴史」とか)もよいですよ。

桶物語・書物戦争 他一篇 (岩波文庫)

桶物語・書物戦争 他一篇 (岩波文庫)