ブライアン・ラムレイ「地を穿つ魔」

 ラヴクラフトのやうに書いたところでラヴクラフトを凌駕できないのは歴史が證明してゐる。だから新機軸をねらはねばならぬとしても、これはどうかなあ。
 「邪神ハンター」なんてことばが出てくるのですよ。あの、何がなんだかわからない異形のばけものが、狩られる側に堕してしまつた。これを冒涜的といふのではないか。
 といつたことを措いて小説としてだけみても、かなり弱い。主人公クロウが中盤以降は傍觀者でしかなく、ゐてもゐなくてもいい存在になつてしまつてるのはまづいでせう。

地を穿つ魔 <タイタス・クロウ・サーガ> (創元推理文庫)

地を穿つ魔 <タイタス・クロウ・サーガ> (創元推理文庫)