「フレッド・アステア自伝」(フレッド・アステア)

 既読の「アステア・ザ・ダンサー」はこの本の出版後に出たものであり、つまりこの本の内容を包含している。でも、アステア自身がガーシュウィン兄弟やマーク・サンドリッチやアーサー・フリードを語るとなれば、読むほかあるまい? 文章を読めば、ゴーストライターが書いたものではないのがわかる。うまい文章ではまったくない。そのぶん、アステアの肉声を聞く心地がするわけですね。そして思ったのはアデールとのコンビの映画をのこしてほしかった。アステアの一番のパートナーはやはりアデールである。姉弟の舞台評は、アデールについて多くをさいている。天才であったらしいアデールのぐるぐる回りを見たかった。あれ、「踊る騎士」か何かで誰かがぐるぐる回りを再現してたんだっけ? うーん、記憶があいまい。
 見たいといえば、軍への慰問興行でアステアとハーポ・マルクスが同じステージに出ている写真を見たことがある(たしか)。このステージも見たかったなあ。