「西洋哲学史 近代から現代へ」(熊野純彦)
近代哲学は、むつかしい。前巻は、理解できていたかどうかはともかくとして楽しんで読めた。こちらはお手あげである。それはもちろん、こちらの理解力の問題である。が、ヘーゲルの項で『区別するとは、<他のものではないこと>として、<ないこと>を定立することである』という引用でさえ敷衍されないとわかりづらいのに、伝統的な邦訳とやらでは同じ文章が『区別は、他者の非有としての非有の措定である』なのだそうですよ。こんなの理解できるほうがおかしくないか?
わたくしがおもしろいと思ったのはウィトゲンシュタインの項、それにカリフォルニア州のバークレーという地名がバークリー司教に由来するということでしょうか。あとは、ベルクソンやフッサールに一章をさいているのに、スピノザ、フィヒテ、シェリング、ニーチェ、ハイデガーのあつかいが小さいぢゃないか、みたいなことばかり。