「水滸伝と日本人」(高島俊男)

 日本における「水滸伝」受容史であり、そういう専門的なものをさらっと読ませてしまうのはたいしたものである。が、わたくしはどうも「水滸伝」が好きでないので、のれないんだなあ。そもそも、高島さん自身が『水滸伝の文章は稀世の名文であるが、その名文を、名文のまま別の言語にうつすことは所詮不可能である。』『真に水滸伝のおもしろさを味わおうと思ったら、中国語を初歩から学ぶよりほかに手はない。』と書いてますしね。というより、それを実証するための本がコレであるというべきか。戦後に新訳が出るまで、かなりいいかげんな初訳が実質的にずっとまかりとおっていた、というのは衝撃的。