「クマムシ?!―小さな怪物」(鈴木忠)

 冒頭、クマムシ最強生物説を著者は都市伝説であるとかたづけている。となれば、わたくしがクマムシについて知っていることは無くなってしまうわけですが、そもそも最強説をわたくしはどこで知ったのだろう。なにかで読んだはずだが思い出せない。不思議ですね。ともあれ、ムシってんだから昆虫だろうと思っていればさにあらず、節足動物ですらない。クマムシだけの門が設けられているというユニークな生きものだそうな。
 都市伝説だというものの、乾眠状態のクマムシが高温低温や放射線によく耐えるのは事実である。が、そういう生物は他にいろいろいる。ではなぜ『クマムシばかりがもてはやされる』のか、『それはもちろん、かわいいからだ』。この本にはクマムシの写真や絵がたくさん掲載されているが、どれもかわいい。マルクス夫人の絵はラブリーとしかいいようがないし、深海のおしゃれなクマムシはすてきだし、こっちをむいてVサインしているヤツもいれば、熊そのものみたいな絵も破壊力がある。こうなると歩いている姿を見たくなってくるというものだ。