「イスラーム生誕」(井筒俊彦)

 これまた「<狐>が選んだ入門書」からの一冊。イスラム教の発生時のアラブ世界の精神的実存的危機と対比してのムハンマドの思想を描く。何百年もの間おなじような生活をしてきたジャーヒールが、なぜその時にいたって実存的危機とやらにおちいったのかわからん。どうやらハニーフという隠者(?)たちの思想がムハンマドに影響しているようなのだが、ハニーフとは何か、これまたわからん。
 とまれ、これまで何冊か読んできたイスラム入門書とはまるで異なるアプローチをしている。でも、読物としてそれほどおもしろいとも思わないなあ。