「造物主の掟」(ジェイムズ・P・ホーガン)

 “造物主”には「ライフメーカー」とルビ。異性人の無人資源開発システムがトラブルにあってロボット生命社会に進化、そこへ地球人が遭遇して展開する物語。だが、なんという貧困な想像力か。ロボット生命がきづいた世界は中世ヨーロッパ的社会であり、キリスト教風異端審問がまかりとおっているのである。なんでもっとかわった社会をつくりださないのだろう(オカルトや疑似科学にたいするスタンスをメッセージ化するためにしかたなかったのかもしれないが)。こういうのを読むとレムはえらかったと思いますなあ。そもそもコレは植民地解放物語であって、帝国主義時代末期を舞台にしても容易に成立しそうである。「星を継ぐもの」はミステリだったし、ホーガンは本質的にSFのひとではないのではないかしらん。シナイ山のやりとりは可笑しかったけれど、それだけでこの浩瀚、というか大部な本をゆるすというわけにもいきませんな。