「仏教の思想5 絶対の真理<天台>」(田村芳朗、梅原猛)

 梅原さんも法華経について『悪いほうの見方をした本ばかり』を読んだといってるが、私も渡辺照宏岩波新書からはいったもんで法華経をうさんくさく感じていた。インドにおける法華教団がそもそもカルト教団のようであって、他教団から差別されていたため排他的、攻撃的なのだとかなんとか。そういう頭で読むとですね、やっぱりうさんくさいわけです。釈尊の思想を否定するのはいいけど、釈尊を騙ってやるのは卑劣だと思う。まあ、大乗経典はみんなそんな風なのかもしれませんが。正直いって第一部などむつかしくてあまりついていけなかったのだけれど、天台大師は比類ない思想家であり、最澄の功績は巨大であり、本覚思想は日本文化に絶大な影響をあたえた、ということらしい……。あんまり莫迦にしたもんでもないのかも。