「人生は五十一から(5) にっちもさっちも」(小林信彦)

 小説の中でだがこのひとはかつて軽佻浮薄な好況の社会をのろい、不況がくればいい、なんて書いていたのである。それがいざ景気悪化してみれば愚痴連発とは情けない。獅子文六の回なんかおもしろいし、映画と小説のことだけ記していればいいんである。ルサンチマンにみちあふれた政治経済ネタはいらない。