「見仏記4 親孝行篇」(いとうせいこう、みうらじゅん)

 四巻が出ているのを知らないまま文庫になっていた。情報収集能力がおちたというより、本屋にあまり出かけなくなったか。さて、“親孝行”とは、いとう・みうら両氏のご両親をつれての見仏旅行から来ている。みうらさんのお母さんの『近頃はなんにでもマイをつけて、じゅんの真似やわ』というコトバが可笑しい。自分の息子が“マイブーム”なんて語を発明して、それが世間にでまわるようになったときの、親の気持ちはどんなであろうか? そしてアノみうらさんをしても、親の前ではぶっきらぼうというか、つっけんどんというか、意地っ張りな男の子のようになってしまうのを読んで、親孝行の道のけわしさを知るのであった。
 出てきた仏像では海龍王寺の十一面観音像がすてきで、見に行きたくなりましたよ。