「ミスタア・ロバーツ」(ジョン・フォード、マーヴィン・ルロイ)

 元は戯曲なのかな、どうも映画的でない画面が多くていけません。海が映るシーン(と女性)は美しかった。というわけで話はどうでもよいのだが、前線に行きたがっている主人公がすでに共感できない。ある意味では悪役のジェイムズ・キャグニーよりも醜悪に思えるし、近視眼的な乗組員たちの愚かさも鼻につく。俳優として好きでないジャック・レモンがもっとも好ましく思えるあたりどうなんでしょう。
 ヤシの木をひっこぬいて喜んでいるあたり、坊ちゃんが卵をぶつけていきまいているような悲惨な滑稽さがある。