「惣角流浪」(今野敏)

 嘉納治五郎には複雑な思いがあって素直に礼讃する気にはなれないのですが、この小説においては惣角より好きだなあ。それくらい、感情移入のしづらい主人公である。お話もへんてこなところで終わっていて残念。つよくなってから強敵と戦わないのではつよくなった意味がない。
 武田惣角については津本陽「鬼の冠」でも読んだけれど(「拳児」にもちょろっと出てくる)、主人公の性格は別としてなんだか全然ちがう物語だった、ような気がする。ま、これはこれで面白いし、バトルシーンの説得力がいいですね。