「名探偵コナン 銀翼の奇術師」(山本泰一郎)

 コナンの劇場版はテレビでけっこう観ていたりします。サスペンスというか、パニックものというかそのへんの味つけが本篇のテレビ版よりも、否原作のまんがよりも面白いようにも思えるのですが、近作の出来はどれも感心できないものばかりでありました。が、これはなかなか。
 たぶん映画化スタッフがやりたかったのは最後の30分あまりの部分なのでしょう(私が観たかったのもそうですが)。そこにもってゆく原因のところでうまく殺人事件をもってきたのがうまい。殺人事件がしょうもないのはだからいいのですが、そのまえの劇場でのどたばたは不要ではありますまいか。キッドにいいところをもってかれしまったりして、映画化スタッフも主人公がこどもであることに四苦八苦したのでしょうね。
 この後半部分を実写の映画でやったらあまりのリアリティの無さに憤ったでしょうが、アニメだと比較的抵抗なくのみこめる。これがアニメの強みかなどと思うのでした。