「完全脱獄」(ジャック・フィニイ)

 本の山から他のブツをさがしていてコレを見つけて、まあこっちでもいいかと読みはじめる。フィニイを読むのは「五人対賭博場」「盗まれた街」ときて、これが三冊目です。「五人対賭博場」はまあまあ、「盗まれた街」はイライラさせられる作品でしたが、これはそれなりに面白かったかな。
 といって脱獄ものの面白さがあるわけでもないのですな。そういう意味では訳題はもうひとつ(原題は“The house of numbers”)。うまく脱獄できるか、が物語の焦点ではなくて、そのあとで主人公とヒロインがどうやって危難をきりぬけるかがポイントになってしまっているのですね。
 あと、三冊共通の特徴として、読み終えてスカッとしないというのがあります。これだからフィニイは好きになれないのだなあ。