「誰でもない男の裁判」(A・H・Z・カー)

 作者、FDRの顧問やら、トルーマンの補佐官をやったそうな。コードウェイナー・スミスティプトリーを思いだしますが、合衆国の政府関係者って大衆小説をかいたりするひと多いですね。
 表題作といい、ほかの作品といい、テーマが前面に出すぎているのが気になります。そのへんは専業作家でないところから来るものなのでしょうか。エンタテインメントにテーマはいらないと思う私からすると邪道に見えます。その点、「姓名判断殺人事件」はきちんとミステリしていて気持ちいい。陳腐なトリックでもしっかり機能していれば楽しめるものです。