「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(下)」(J・K・ローリング)

 お、下巻は面白い。練りこまれたストーリーはたいしたものだが、登場人物にさっぱり魅力がないのが惜しいところ。それに、けっきょくコレは謀略小説ですな。あるいはダンブルドアの最後の長々とした説明を謎解きとみて、ミステリとしてもいいか。ともかくファンタジーは上っ面でしかない。ガジェットや魔法、試験の内容などの発想がきわめて貧困である。魔法による戦闘の退屈なこと。
 もちろん、すべての小説がファンタジーである必要はないわけで、面白いのだからいいのだけれども、物足りなく感じるのも事実なのであります。