「犬神家の一族」(横溝正史)

 読み物としては面白いのだけれど、本格ものとしては満足できない。ヒントの出しかたがいまひとつなので、謎解きのときに「そうだったのか!」って思えないのですよ。事件の構成に偶然の要素が多すぎるのも難か。
 あいかわらず探偵は無能ですな。だが、「八つ墓村」で探偵としての無能さの極限に達してしまったので、くらべれば凡庸な無能さにとどまった印象。