2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「スターヴェルの悲劇」(F・W・クロフツ)

ふしぎなおもしろさに惹かれてもう一冊。クイクイ読ませるようなストーリーテリングがあるわけでもないのに、なぜだか読めてしまう。ある種のライトノヴェルといってもいいかもしれない。読者の心にフィードバックされるところが極度にすくないためか、とも…

「マギル卿最後の旅」(F・W・クロフツ)

ごくごくはじめのほうで犯人はわかってしまう。この小説の眼目がフーダニットではなくハウダニットにあるのはわかるけれど、それにしてもミスディレクションが下手ですな。どう考えてもあやしい行動をとっている人物をうたがわない探偵があほに見える。トリ…

ジャンプ、新連載「バレーボール使い郷田豪」(高橋一郎)は「マサルさん」をソフトにした感じでしょうか。第一回は十分におもしろかった。気になる「サムライうさぎ」の二回目は及第点というところ。

「翻訳語成立事情」(柳父章)

これも「英語で読む万葉集」も、「翻訳家の仕事」で言及されているの見て読むにいたった。あらたな本との出会いにみちびいたという点では「翻訳家の仕事」は評価できる。 「社会」「個人」「近代」「美」「恋愛」「存在」「自然」「権利」「自由」「彼、彼女…

チャンピオン、「ショー☆バン」(森高夕次、松嶋幸太朗)がなんの盛りあがりもなく終了。原作の作家はどうもこんな感じで、作品を大局的にみて話を構築できない。「おれキャプ」もこんなふうに朽果ててゆくのだろう。「OUTLAW TAXI. 赤い稲妻」(矢上裕)は…

「バッハ『ゴルトベルク変奏曲』 世界・音楽・メディア」(小沼純一)

*「「草枕」変奏曲」の横井氏は“ゴールドベルク”、小沼氏は“ゴルトベルク”と表記する。わたくしはなんとなく、“ゴールトベルク”としてしまうのですが。 まづ、擬似対話がうっとうしい。なにやらこれでポリフォニーだか対位法だかをあらわしているようなのだ…

「英語で読む万葉集」(リービ英雄)

わたくしには韻文を読む、あじわうセンスがない。なのに時おりこうして詩の本を読んではやっぱりダメかとがっくりすることをくりかえす。この本についても基本的にはそうなのだけれど、長歌は短歌よりおもしろいのだという発見があった。なんだかダラダラと…

ジャンプ、「重機人間ユンボル」(武井宏之)が終了。個性的といっても限度がある。暴走ぶりについてゆけぬ。そして、「サムライうさぎ」(福島鉄平)がはじまった。間断なくチャンバラものがあるなあ、編輯部にそういう意図があるのかしらん、などと思いつ…

「グノーシス」(筒井賢治)

オビに『日本人研究者による待望の入門書、登場!』と仰々しく大書してある。でもまあ、そんな感じであるのは事実で、メチエはなかなかかゆいところに手がとどく選書であるね。グノーシス思想一般ではなく、キリスト教グノーシスにかぎってあるのはちょっと…

「「草枕」変奏曲」(横田庄一郎)

この本が発売されて平積みになっていたころ、書店で手にとってグールドが漱石の「草枕」を愛読していたこと知った。この本を買うことはなかったのだけれど、それがきっかけで「草枕」を読んだ。底の浅い、つまらぬ小説だと思いましたよ。小説として、という…

チャンピオン、「涅槃姫みどろ」(大西祥平、中里宣)が終了。二話をかけたエンディングだが、なんてこともなく終わった。それがこのまんがらしいのかもしれぬ。週刊誌連載で一話読切をつづけ、一定のクオリティをたもったことに敬意を表する。