誰彼
 探偵がまちがふ小説が苦手である。かういふのもいはゆる共感性羞恥つてヤツなのだらうか。バークリーのある種の作品など、好き嫌ひはべつにして大いに苦手とする。
 これがデクスターのレヴェルまでいつてしまへばなあ、などと考へつつ讀んだのだが、あとがきでまさにデクスターをめざしてゐたとあつて驚く。
 おもしろく讀めた部分もあるのだが、全體としては大がかりな道具立てと比して謎そのもののスケールの小ささが氣になる。

 

誰彼 (講談社文庫)

誰彼 (講談社文庫)