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喜嶋先生の静かな世界
 S&Mと呼ばれるらしいシリーズを一通り讀んが、私は終始Mのはう、つまり萌絵にいらだつてゐた。餘計なことに鼻をつつこんで事態をややこしくしてばかりゐたからだ。いまになつて考へてみると私は犀川先生の言動が讀みたいだけなのだつた。要するに殺人だの推理だのが邪魔だつたのだ。この小説はミステリでない。だから一貫して心地よく讀むことができた。ふたりで八時間かけて式を展開するシーンはとてもうつくしい。