眠られぬ夜のために 下巻
 讀めば讀むほどキリスト教思想と申しますかキリスト教的價値觀に嫌惡の念がつのるやうな書物であつた。クロムウェルやカルヴァンを英雄と呼ぶ人間のなにを信用するといふのか。
 眠ることができないことを私はつねに「眠れない」といつてるが、これはら拔きことばなのか。「眠られない」なんていつたことないわ。

 

眠られぬ夜のために〈下巻〉 (1959年) (角川文庫)

眠られぬ夜のために〈下巻〉 (1959年) (角川文庫)

 

 
謎の彼女X(1)
 かつてアフタヌーンを購讀してゐたことがあり、「ディスコミ」は好きな作品であつた。とくにあの、みつしりとつまつた繪が氣に入つてをりました。コミックスで紹介されたわら半紙アートも魅惑的であつた。この作品ではみつしり感のある繪は主人公の夢でのみあらはれるやうである。それもよし。
 なぜひとは、といふか私はみつしりした繪に魅了されるのか。ある種のアウトサイダーアートにもかういふつまつた感じはある。ブリューゲルやボッスもさうなのかもしれぬ。みつしりの系譜ですな。