黙示録3174年
 昔むかし私はこの小説を讀みたいと思つた。なぜさう思つたかおぼえてをらぬ。ただその讀まねばならぬとの義務感がのどにささる小骨のやうに、いやそれほどでもないが、ときをりは思ひだされて私をせつついた。はれていま讀了できたけれど、かういふ小骨本はほかにもたくさんあり、のどぢゆうが骨だらけの樣相を呈してをる。ここから得られる教訓は、やたらと本を讀みたいなどと思つてはいけないといふことだ。
 解説をなぜか池澤夏樹が書いてゐる。「冷戦やマッカーシズムの寿命もまた長いのだろうか」なんて文章には隔世の感がありますね。

 

黙示録3174年 (創元SF文庫)

黙示録3174年 (創元SF文庫)