やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(11)
 變節後の主人公があまり好きではない。いや、變節ではなく、もとからさういふ人間だつたのかもしれぬ。だとしても、そこをあへて世をすねて、斜にかまへて生きてきたのだから貫徹してもらひたい。私はこの主人公が成長することを期待してゐない。ウッドハウスの讀者がバーティの成長を期待するだらうか。比較の對象がまちがつてますかね。
 これはあの困つたお姉さんとおなじ見かたなのだらうか。それはイヤだなあ。しかし、どこかよそに本物だの、ほんたうだの、眞實だのがあるのであつて、ここにあるのはにせものである、といふやうな思想はうさんくさい。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 (ガガガ文庫)