美濃牛

 ムアコックやバドリスからの引用におどろく。「コーネリアス年代記」なんてシロモノが譯出されてたのか?と思へば作者自身の譯文であつた。
 天瀬、窓音、暮枝がテセ(ウス)、(アリ)アドネ、クレタだとしてでは羅堂は? ラダマンテュスといふのはどうでせう。クレタ王家の名だからをかしくない。音はあまり似てないけれど。
 くせのある人物がぞろぞろ出てくるのだが、讀んでゆくといづれも共感のできる好人物のやうに思はれてくる。これはけつこうたいしたものだ。

美濃牛 (講談社ノベルス)

美濃牛 (講談社ノベルス)