推定無罪(上)

 遠い現代はわからない。これが六十年代ならわかる。いや、ほんたうにわかるはずはないがわかつてゐる氣になることができる(六十年代は現代ではないのか?)。戰前でもいいし、ヴィクトリア朝でもいい。でもこの時代だと、なぜDNA鑑定をしないのかとか、なぜコンピュータをもつと驅使しないのかといつた感覺をぬぐへない。ふしぎなことだ。私もこの時代を生きてゐたのに。
 作者は檢事で主人公も檢事である。主人公は警官はみな狂つてゐると思つてゐる。そんなものなのか?

推定無罪〈上〉 (文春文庫)

推定無罪〈上〉 (文春文庫)