アイの物語

 個々の話、とくに「詩音が来た日」はおもしろいが、全體としてはどうも。それほどまでに異質な知性が陳腐な、つまり人間にもあたりまへな結論に達するのに違和感がある。クラークの「2010年」のおしまひで「みんな仲良くしませうね」みたいなお説教があつたときも同じやうにガッカリした。ソラリスの海みたいに異質な知性は徹頭徹尾わけわからないものであつてほしい。

アイの物語 (角川文庫)

アイの物語 (角川文庫)