厭魅の如き憑くもの

 まづ、タイトルに違和感をもつた。その違和を分析するに、「憑くもの」てな一語ではなく「憑く」と「もの」なのである。すると「厭魅の如き」が「憑く」にかかる感じになつてをかしくなる。「厭魅の如く憑くもの」にするか、または「厭魅の如き憑きもの」にするべきではないのか。
 すると「憑きもの」は一語つてことなのか。でも、「如き」を「やうに」にかへると印象もかはる。「厭魅のやうに憑くもの」でも「厭魅のやうな憑くもの」でも問題ないと感じられる。
 要は私の感じかたがさうだといふだけなのだな。それに讀んでるうちに「如き憑くもの」でもいい氣がしてきたし。
 内容はよい出來とはいひがたい。けれど、こぢんまりとまとまるだけではよしとしない意志を評價したい。

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)