「Missing Blue」(PS2)

 「Remember11」の失敗のひとつは、ギャルゲーの形式を捨てたことではないのか、と考えている。複数に分岐するシナリオをすべて読むという作業は、相当なエネルギーを要するのである。だから分岐のそれぞれに“攻略”すべきキャラクタを配したギャルゲーは、マルチシナリオのアドヴェンチャーに好適なのではありますまいか。そんなことを思うものの、条件にかなう作品はさほどなく、そこで前作「Lの季節」がなかなかに面白かったので買ったものの抛擲してあったこのゲームを思いだしたのであります。
 まだ半分も終えていないのですが、いくつかのシナリオをクリアして物語の全体像がおぼろげに見えてくるあたりは悪くない。ですがこの兇悪な難度はいただけませんな。選択肢をえらぶにあたって十分なヒントがあるわけでない上に、選んだ影響がすぐに見えない場合もある。これだと、セーブして選択してダメならもどるというやりかたもしにくい。さらにセーブが8箇所しかできないからセーブしまくるのも無理と、きわめて不親切なつくりになっています。
 そしてもうひとつの致命的といえる缺陥は、唯芽というキャラが存在し、しかも多数のシナリオにすくなからぬ登場機会を得ているということです。好みからすれば、シリアス一辺倒よりもコミカルな味もあるほうがいいのですが、まるっきりすべっているくらいなら陰鬱なストーリーのほうがマシ。唯芽と桃太郎一味のさっぱり面白くないやりとりを延々と読まされるのは苦痛以外のなにものでもありません。