「ダ・ヴィンチ・コード(上)」(ダン・ブラウン)

 本の雑誌でだれかがこの作品を絶讃していたので読んでみることにしました。ただそのひと、「薔薇の名前」に匹敵するとかなんとか書いていたのがひっかかった。「薔薇の名前」がさほどの作品とは思えないからであります。
 買ってきてオビを読んでみるとアメリカでベストセラーであったとある。これもマズい気がしました。ベストセラーに面白い作品なし、というのが私の根拠なき確信だからであります。
 読みはじめて気になったのは、文章に知性が感じられないことです。訳文にも問題がありそうですが、そもそもレオナルド・ダ・ヴィンチダ・ヴィンチと略称する人間の教養を信頼できましょうか。
 でもって内容は、シオン修道会やらテンプル騎士団やらを扱っていたのでした。先日「フーコーの振り子」読んでこの手のネタには食傷していたのでうんざり。逃走劇だって不要なのではなかろうか。主人公が脚を骨折して病院でレオナルドについて考える、なんて展開のが面白そうだ。
 ただ、ティービングなる人物がでてきて面白くなりつつあるようでもあり、下巻でたちなおることをちょっとだけ期待いたしましょう。