「新版 指輪物語9 王の帰還(下)」(J・R・R・トールキン)

 渇きと疲労と絶望の旅路。とりわけ渇きはひどく、読んでいるだけでこちらものどが渇くようだ。這ってでも前進するホビットたちの悲壮な義務感はいったいどこから来るものなのか。
 今回読んで印象的だったのは、絶望的な状況になると発揮されるホビットたちの勇気だったのだけれど、基本的にこれはホビットが主人公の物語なのですね(あたりまえだけど)。ホビットから見た指輪戦争の話なのだから、あまりアラゴルンらが前景に出てきてはいけないのではありますまいか。